*)大佐が黒いです。ムリヤリ系が苦手な人はお気をつけ下さい









頭痛、耳鳴りに近い
煩わしい羽虫のようなものが私の周りを飛び続け
じりじりと焼け焦げた神経からは嫌な匂いがした
感覚的なそれは酷く私を苛立たせる。

これは酩酊だ
そして無節操な破壊衝動だ

なんでもいい
触って確かめて壊したい


とても私はいらいらしている。





* * * *








組み敷いた体躯はあまりに小さく、何の手を加えなくても壊れそうだ。
「さあ、心の準備はいいかね」
私はあえて冷たく言い放った。
彼に言い訳を与えないために。
「…いい、何でも」
強張った表情を浮かべつつも、その瞳の鋭いほどの輝きは褪せず
射抜くほどに私を見つめ返してくる。

まるで誘っているようだと思う。
いつも思っていた。

鈍い蜜色の髪とか、金色の猫の目とか。
その身に帯びた太陽の色
眩しく気高いとも思えるそれは
時々無性に汚したくなる衝動を起こさせる

どうしてそんなに綺麗なふりをしているのかと。



「あまり優しくするつもりはないが、」
いいねそれでも、と呟くと
エドワードは小さく頷いた。
そして私は憐れな獲物を捕らえる算段を進める。
簡単な餌で彼は手に落ちる。
ちっぽけな紙束のために

弟のために







* * * *








「どうしても欲しいかい」
「欲しい」
迷いのない視線だった。いつもエドワードはまっすぐに私を見つめる。
彼のとても好ましい部分だ。私は心中でほくそ笑む。

「では、等価交換だ」
「等価交換?」

「君の持っているものでいい。それを私にくれないか」
唇の端を僅かに上げ淡々と話す私に向かって、エドワードは不信な表情を浮かべる。
私が欲しがるものを自分が持っているとは思えない、そんな顔だった

「君の持っているもの、
弟の魂、銀時計、そして君自身。それだけだ。さあどれを私にくれる?」
無理にとは言わないが、と私は付け足した。
逃げ道は作っておいてやる。
それを使うか使わないかは彼の決める問題だ。

「…それで選択権を与えたつもり?」
こちらを睨み付け、皮肉に笑う彼に私は黙って微笑んだ。
肯定だ。彼がどう答えるかなんて解かりきっている。
エドワードは訝しがる目を浮かべた
「こんな子供を使って何が出来るわけ」
「色々な使い道があるよ。君自身のためにも知っておいた方がいい」
当然詭弁だ。
それでも、手を伸ばせば欲しいものが何でも手に入ると思っている
この馬鹿な子供には思い知る必要があるだろうと思えた。

純粋であることの愚かさを。
諦めるということを知ればいい。


雰囲気だけでも感じ取ったのだろうか。
永遠とも思える沈黙の後、ぽつりとエドワードが呟いた。
「…アンタが変態だとは知らなかった」

存外に子供っぽい声で呟く彼に
私は思わず吹き出し笑い声を低く洩らした。
違いない。

そう、彼は小賢しい子供であり、私は汚い大人だ。





* * * *





掴んだ生身の手首は思いのほか細かった。
衣服を乱し、寝具に押さえつけた腰の感触も。
鍛え上げているとは言え、やはりまだ子供ということだ。
男性、にすらなっていないことは確かめるまでも無いだろう。
幼すぎる体躯に手をかけることに、罪悪感が全く無いないとは言えないが
それゆえに湧き上がる劣情が確かにあることも認めざるを得なかった。
ドロドロとした醜いそれに、軽い吐き気を覚えつつも
この凶暴ともいえる感情を止めることは出来ない。
否止めるつもりも無い。

獲物は自分から飛び込んできた。



「…たい、大佐!」
「なんだい」


仰向けに組み敷き、彼の耳たぶに這わせていた舌を止めた。
私は面倒くさげに相槌を打つ。
少し顔をあげると、やや色を失った子供の顔が飛び込んできた。
緊張しているらしく瞼が細かく震えている

「怖くなったか。逃げたいかい?」
「…!違っ、」

とたん、エドワードの顔に朱が入る。
私は動じることも無く、彼の言葉を待ちその瞳を見つめ続けた。
そこに何の感情も浮かべないようにすることには成功しているだろう。
エドワードは困ったように瞳を泳がせた。
幾度か言いよどみ、言葉を選んだ挙句にエドワードが口を開く。
「…あんた、男が好きなの? それとも子供が?」
「随分ストレートな質問だね」
「理由がわからない…」
「ああ、それは聞いても無駄なことだ。私にもわからない」
はぐらかされたとでも思ったのか、エドワードはきつく眉根を寄せた。

「理由など知らなくても良いだろう?こうやって、ただ足を開いていれば
 君の欲しいものは手に入る」

私は、小さく笑い声をこぼした。
わざと傷つけるような言葉で彼を追い詰める。
案の定エドワードは一気に青ざめると、唇をかみ締め私を睨み付けた。
そして隠しきれない、未知の恐怖に怯え揺れる瞳の色。
なかなかに官能的だ。


「売女のようにね、従順にしていればいいんだよ」


私は、出来うる限りに優しく形の良い彼の耳元に囁く。

手の内の子供は、
ともすれば泣き出しそうな顔をしていたが、
その瞳からは涙はこぼれることはなかった。


それでいい。



* * * *




私は思うより性急に事を進めた。
別段その必要も無かったが、なぜか急がなければいけない焦燥感に駆られたからだ。
そうしなければ追いかけてくる何かに捕まってしまいそうな。
幻惑のようなものに私は浮かされている。



「あ、あ、あァ……っ!」

不埒な手のひらの動きで、エドワードのそこを何度も追い上げては性を吐かせる。
同性のそこが、どうすれば感じるかなど異性のそれに比べて返ってわかりやすいくらいだ。
幼いそこは難なく陥落し、幾度めかの欲望を私の手の中に吐き出した。
きっと自分で弄ることも殆どしないのであろう、飽きれる程に容易い。
膝下まで下げられた下着が中途半端に絡まり、気持ちが悪いのか身をよじる姿に
私はそれを一気に引き抜いた。
エドワードの足の間に割いるように上体滑り込ませ、
ついで、食い破るようにきつく唇を重ね合わせる。
怯えたように縮こまる舌を引き出し、やや強く吸い上げ歯を立てた。
驚いたのか逃げを打つ身体は体格差で押さえつける。
子供の唾液の匂いがした。
なれない口付けが苦しいのか、エドワードの閉じられた瞼に生理的な涙が薄く滲む。
酸素を求めるように、彼が背中を叩いてきたが、
私は無視し、そのまま胸元までたくし上げた上着の中に右手を差込むと
膨らんだ突起に戯れを仕掛ける。
「…はっ、」
開放した唇から、一気に空気を吸い込むと、エドワードは大きく胸を上下させた。
恐らく初めての口付けであろうそれは、思う程快楽を与えることなく終ったようだ。
あまりに一方的だった、無理も無いだろう。
それでも衝撃は残ったらしく、呆然と見開かれた目の中には薄く情欲の色が見える。
唇から顎にかけて零れ落ちた一筋の唾液を丁寧に舐め取ると、ヒタリとその金の瞳を見据えた。
「力を抜きなさい」
私は割開いた彼の足の付け根、その奥に届くよう、エドワード自身によって濡らされた指先を這わせる。
命令とも聞こえる言葉だったが、なにやら凡庸に響いた。
そこに指がたどり着いたとき、私は何かを言おうと僅かに動いたエドワードの唇を見逃さなかった。
それでも躊躇無く差し入れる。
止める気は無い。

「…っふ!」
エドワードは息をのむと、顔に食い込むほどに両手で唇を抑えつけた。
本来、排出を促すべき場所だ。
その逆の用途として、飲み込まされる異物感はたまらないことだろう。
両足を大きく割開き、突き入れ、かき回し、指を増やす。
その動作の度にエドワードの身体はびくびくと震えていたが、彼は制止を求めなかった。
そんな姿をいじらしいと思う自分も本当だったが、酷い苛立ちを覚える事もまた本当だ。




引っ切り無しに、抑えた唇から漏れる泣き声のような音を洩らしながら、
それでも君は美しい
白いシーツに零れ散る金糸
太陽の色
禁忌を犯してもなお輝くというのか。



滅茶苦茶に壊してしまいたくなる、この衝動。




お願いだよエドワード

君もここに堕ちてきて。












「鋼の、」

小さく呼びかけると、濡れた瞳が返って来た。


「入れるよ」

「あ……、」

返事は待たない。
私はまるで楔のようにそこを穿つ。

















next or end




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