epilogue
 







薄汚れた天井
四肢をベッドに放り出したまま
エドワードは呆然と遠ざかっていく靴音を聞いていた。

あの男がこの部屋を出て行く前に最後に何を言ったのかは聞き取れなかった。
それは、在り来りの別れの挨拶だったかもしれないし、
もしかしたらただの独り言だったのかもしれない。


何もかもが虚ろだ。




残っているのは
胸に灯る微かな焔だけ。



(『―鋼の』)



黒と、青と、その身にまとう焔の色と
混ざり合っては、我が身を焦がす。








「…っ!」


エドワードは、ふいに窓へ駆け出した。
軋む黴臭いガラス戸を押し上げ、半身を乗り出す。
眼下の街路に、次第遠ざかっていく黒い背中を認めると、声を限りに絶叫した。


「ロイ=マスタング!俺はアンタが好きだ!アンタが好き…っ」



その背中は振り返らない。



「アンタが…、好き…だよ…」
せり上がってくる涙に息が詰まり、視界が霞む。
歩みを止めないその姿は、もう見えない。
息を殺して嗚咽し、しゃくりあげる。
エドワードは、窓の桟に縋るように崩れ落ちた。






そこにあるのは

燻る焔

死にゆく恋と、冷たい床。








To be continued










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05/04/07